「Excelの作業は毎回似ているのに、意外と時間がかかる…」
関数の書き方を調べて、表を整えて、集計方法を考えて、エラーが出たら原因を探す。Excelにあまり慣れていないと、こうした一つひとつが負担になりがちです。
そんなときの相談相手として、ChatGPTを使う方法があります。やりたいことを伝えると、使えそうな関数や操作の方法を整理してもらえます。
ただし、ChatGPTにExcel作業を丸ごと任せられるわけではありません。この記事では、ChatGPTを「考え方や方法を整理するサポート役」として使う前提で、医療職向けのプロンプトを5つ紹介します。実際のExcelファイルを渡さず、表の構造や架空のデータを使って相談する方法を中心に見ていきましょう。個人情報の注意点と、回答の確認方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
医療職のExcel作業は意外と時間がかかる
医療職の場合、単純な数字の集計だけでなく、さまざまな場面でExcelを使うことがあります。職場によって異なりますが、例えば次のような場面です。
- 勤務表や当番表の管理
- 検査件数などの集計
- 委員会資料の作成
- 業務改善のためのデータ整理
- 部署内の管理表
- 勉強会や発表資料に使う数字の整理
こうした作業は、毎月・毎年のように繰り返されることがあります。そのたびに関数を調べ直したり、表の形を整えたりするのは、負担になりやすいものです。
「Excelは使うけれど、関数や集計は苦手」という方、少なくないのではないでしょうか。
ChatGPTにExcelのことを聞くときは「やりたいこと」を具体的に伝える

「関数を教えて」だけでは伝わらない
「Excelの関数を教えて」とだけ頼むと、一般的な説明が返ってくるだけになりがちです。ChatGPTに相談するときは、表の状態や目的を伝える必要があります。
伝えておくと相談しやすい情報
次のような情報があると、回答が実際の作業に近づきます。
- 何をしたいのか
- どんなデータなのか
- 現在どんな表になっているのか
- 最終的にどんな結果にしたいのか
- 使っているExcelのバージョン(分かれば)
- エラーが出ている場合は、そのエラーメッセージ
Excelのバージョンが分からなくても問題ありません。その場合は「バージョンは分かりません」と伝えれば十分です。
勤務表のように複数の条件を整理してAIに伝える場合も、最初に必要な情報を整理することが重要です。考え方はこちらの記事でも紹介しています。

ChatGPTでExcel作業を効率化するプロンプト5選

ここからは、場面ごとのプロンプトを紹介します。例のデータはすべて架空です。実際に使うときは、後述の注意点を確認してから、自分の状況に合わせて書き換えてください。
① Excelの関数を作ってもらう
どんな場面で使えるか
「やりたいことは分かっているけれど、どの関数をどう書けばいいか分からない」ときに使います。例えば、条件に合う行だけを合計したい場合です。
ChatGPTに入力するプロンプト
Excelの関数を教えてください。
【やりたいこと】
「部署」が「外来」の行だけ、「件数」を合計したい。
【表の状態】
・1行目は見出し(A1:部署、B1:件数)
・A列に部署名、B列に件数が入っている
・データは2行目から31行目まで
【データの例(架空)】
部署 | 件数
外来 | 12
病棟 | 8
外来 | 15
【結果を表示したいセル】
D2
【Excelのバージョン】
分かりません
【お願い】
・D2に入力する数式を教えてください。
・数式の意味を、初心者向けに説明してください。
・最も簡単な方法を1つ教えてください
・別の方法がある場合は、最後に簡単に紹介してください
回答の確認方法
- 数式をD2に入力し、結果を表示します。
- 外来の件数を、電卓や目視で数えた合計と見比べます。
- 小さなサンプル(数行)で試してから、本番の表に使うと安心です。
医療職が使うときの注意点
実際の患者情報や機密情報を含むデータは入力せず、必要に応じて架空のデータに置き換えましょう。
② Excelでデータを集計する方法を相談する
どんな場面で使えるか
「部署別に件数を集計したい」「月ごとの件数をまとめたい」など、集計の方法そのものを相談したいときに使います。関数を使う方法もあれば、ピボットテーブルを使う方法もあります。
ChatGPTに入力するプロンプト
Excelでデータを集計する方法を相談したいです。
【やりたいこと】
部署ごと・月ごとの件数を、一覧表にまとめたい。
【表の状態】
・A列:日付、B列:部署、C列:件数
・1行目は見出し
・1日1行で入力している
【データの例(架空)】
日付 | 部署 | 件数
4/1 | 外来 | 12
4/1 | 病棟 | 8
4/2 | 外来 | 15
【お願い】
・関数を使う方法と、ピボットテーブルを使う方法を、それぞれ教えてください。
・それぞれの方法の、メリットと注意点を教えてください。
・集計しやすい表にするために、今の表で直したほうがよい点があれば教えてください。
・初心者でも操作できるよう、手順を順番に書いてください。
回答の確認方法
- ChatGPTの説明どおりに、実際にExcelで操作してみます。
- 集計結果の合計が、元データの合計と合っているか確認します。
- 日付の入力形式が揃っていないと、月ごとの集計がうまくいかないことがあります。
医療職が使うときの注意点
- 回答をそのまま正しいとせず、必ず自分のExcelで確認してください。
- 委員会資料などに使う数字は、元データとの照合を省かないようにしましょう。
③ Excelの表を整理する方法を相談する
どんな場面で使えるか
「日付・担当者・件数がバラバラに入力されている」「あとから集計しやすい表にしたい」といった場合に使います。
大切なのは、「表をきれいにして」と頼むのではなく、「最終的に何をしたいか」を伝えることです。目的が分かると、整える方向が決まります。
ChatGPTに入力するプロンプト
Excelの表を、あとから集計しやすい形に整理する方法を相談したいです。
【今の表の状態】
・日付が「4/1」「2026年4月2日」「4月3日」など、バラバラの形式で入力されている
・担当者名に、全角スペースと半角スペースが混ざっている
・件数が、数字と「12件」のような文字で混ざっている
【最終的にやりたいこと】
月ごと・担当者ごとの件数を集計したい。
【データの例(架空)】
日付 | 担当者 | 件数
4/1 | Aさん | 12
2026年4月2日 | Bさん | 8件
4月3日 | A さん | 15
【お願い】
・集計しやすい表の形(列の構成)を提案してください。
・今のデータを整える手順を、初心者向けに順番に書いてください。
・やってはいけない整え方があれば、教えてください。
回答の確認方法
- 整理する前に、元の表をコピーして保存しておきます。
- 整理後の件数や合計が、元の表と合っているか確認します。
- 変換の途中で、日付が別の日付に変わっていないかも見ておきましょう。
医療職が使うときの注意点
- 担当者名は「Aさん」「Bさん」のように、架空の表記に置き換えて相談しましょう。ただし、実際の職員名を匿名化しただけでは、他の情報との組み合わせで個人が推測できる場合もあります。
- 元データを直接書き換えず、コピーで作業すると安全です。
④ Excelのエラーや数式について相談する
どんな場面で使えるか
「数式を入力したらエラーが出た」「結果がおかしい気がする」というときに使います。原因の候補を挙げてもらい、確認の手がかりにします。
ChatGPTに入力するプロンプト
Excelの数式でエラーが出ました。原因の候補を教えてください。
【使った数式】
=VLOOKUP(A2,F:G,2,FALSE)
【数式を入力したセル】
B2
【エラーメッセージ】
#N/A
【期待している結果】
A2の検査名と同じ名前をF列から探して、G列の項目を表示したい。
【表の状態(架空)】
・A列に検査名が入っている
・F列に検査名の一覧、G列に分類が入っている
【お願い】
・考えられる原因を、可能性が高そうな順に挙げてください。
・それぞれの原因を、Excelでどう確認すればよいか教えてください。
・修正した数式の案があれば教えてください。
回答の確認方法
- 挙げられた原因を、一つずつ自分の表で確認します。
- 例えば、検査名の前後に余計なスペースがないか、表記が完全に一致しているかなどを見ます。
- 修正した数式は、別のセルで試してから反映すると安心です。
医療職が使うときの注意点
- 数式やセルの位置だけを伝えれば、多くの場合は相談できます。元のファイルを渡す必要はありません。
- 数式の中に、院内の機密情報や個人名が入っていないか確認してから入力してください。
⑤ 「Excelでどうやればいいかわからない」を相談する
どんな場面で使えるか
「やりたいことはあるけれど、Excelでどう実現するか分からない」という状態から相談するときに使います。関数の名前が分からなくても、やりたいことを言葉にするだけで構いません。
ChatGPTを「関数検索」としてだけでなく、「Excel作業の相談相手」として使う方法です。
ChatGPTに入力するプロンプト
Excelでやりたいことがあるのですが、どうすればよいか分かりません。
相談に乗ってください。
【やりたいこと】
毎月のデータを一覧にして、前年の同じ月と比較したい。
【今のデータ(架空)】
・月ごとの件数を、別々のシートに入力している
・シート名は「2025年4月」「2026年4月」のように分けている
【Excelの経験】
SUM関数は使えるが、それ以外の関数はあまり使ったことがない。
【お願い】
・まず、この目的に合った表の作り方を提案してください。
・使う関数や機能があれば、初心者向けに説明してください。
・手順は、順番に書いてください。
・分からない点があれば、先に私に質問してください。
回答の確認方法
- 提案された表の形が、自分の目的に合っているか考えます。
- 手順どおりに、小さなデータで試してみます。
- 分からない部分は、そのまま追加で質問しましょう。
医療職が使うときの注意点
- 「分からない点があれば質問して」と頼むと、やりとりしながら整理しやすくなります。
- 最終的に使うかどうかは、自分の職場の状況に合わせて判断してください。
医療職がChatGPTにExcelデータを入力するときの注意点
医療職の場合、Excelに入っているデータが、個人情報や機密情報を含んでいることがあります。ChatGPTに相談するときは、次の情報を安易に入力しないようにしましょう。
- 患者の氏名
- 患者ID
- 生年月日
- 住所などの個人情報
- 検査結果など、患者に関する情報
- 不要な職員の個人情報
- 院内の機密情報
- 未公開の研究データ
- その他、職場で外部AIへの入力が禁止されている情報
ExcelファイルをそのままAIに渡すのは避ける
「Excelファイルをそのままアップロードすれば早い」と考える方もいるかもしれません。しかし、ファイルには、見えている部分以外の情報(別のシート、非表示の列など)が含まれていることがあり、危険です。
この記事で紹介したように、やりたいこと・表の構造・架空のサンプルデータを文章で伝える方法なら、実際のデータを入力せずに相談できます。
使う前に確認しておきたいこと
- 職場のAI利用ルール
- 利用するAIサービスの利用規約
- 入力したデータの扱い(プライバシー設定など)
職場によって、ルールは異なります。AIの利用自体が認められていない場合もあります。ルールが分からないときは、上司や情報管理の担当部署に確認しましょう。
「このAIなら安全」と断定することはできません。迷ったときは、入力しない判断が基本です。
ChatGPTが作ったExcelの数式をそのまま使ってはいけない理由
ChatGPTの回答は、読むと正しそうに見えます。しかし、次のような理由で、そのまま使うのは避けたほうがよいと考えます。
- 数式が一見正しそうでも、間違っている可能性がある
- セル範囲が、実際の表とずれている可能性がある
- こちらが伝えた条件を、意図と違う形で解釈している可能性がある
- Excelのバージョンによって、使える機能や関数が異なる場合がある
- 実際のデータで試さないと、結果が合っているか分からない
特に、数字を扱う業務では、小さなミスが資料全体の信頼性に関わります。
「答えをもらう」のではなく「方法を教えてもらう」
おすすめの使い方は、次のとおりです。
- ✕ ChatGPTに答えを出してもらう
- ○ ChatGPTに方法を教えてもらい、自分のExcelで確認する
具体的には、次の流れで進めます。
- 数式や手順を提案してもらう
- 意味を説明してもらい、自分でも理解する
- 小さなサンプルで試す
- 結果を、電卓や目視と照らし合わせる
- 問題がなければ、本番の表に使う
「なぜこの数式になるのか」を理解しておくと、次に同じ作業をするときにも役立ちます。
ChatGPTは「Excel作業のサポート役」として使う
この記事では、医療職がChatGPTにExcel作業を相談するときのプロンプトを、5つ紹介しました。
- 関数を作ってもらうときは、表の状態と目的を具体的に伝える
- 集計方法は、関数とピボットテーブルの両方を相談してみる
- 表の整理は、「最終的に何をしたいか」を伝えて相談する
- エラーは、数式・セル・エラーメッセージ・期待する結果を伝える
- 「どうやればいいか分からない」状態からでも、相談を始められる
ChatGPTは、Excel作業を丸ごと任せるためのものではありません。やりたいことを整理したり、関数や操作方法を相談したりするサポート役として使うと便利です。
医療職の仕事には、正確性や個人情報の取り扱いが重要な場面が多くあります。そのため、AIの回答をそのまま使わず、人が確認することが大切です。
なお、Excelだけでなく、メール作成など文章作成にもChatGPTを活用する方法があります。気になる方は、こちらのあわせて見てみてください。




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