これまで、勤務表作成にAIを活用する方法を紹介してきましたが、AIは勤務表だけでなく、日々のメール作成のような身近な業務にも活用できます。今回は、医療職の仕事でよくある「メール作成」を、ChatGPTでどうサポートしてもらえるかを紹介します。


医療職のメール作成は意外と時間がかかる

医療職は、院内の他部署、上司、他施設、学会や研修の関係者など、さまざまな相手にメールを送る機会があります。
「伝えたい内容自体は決まっているのに、文章にするのに時間がかかる」
「失礼のない表現になっているか気になる」
「相手によって文章のトーンを変える必要がある」
こうした悩みを感じたことがある方は多いのではないでしょうか。私自身も臨床検査技師として働くなかで、院内だけでなく他施設や学会関係者とメールでやり取りする機会があります。時には海外の方とやり取りすることもあります。フランクに話せる仲の人とのやりとりもあれば、目上の方とのやりとりであったり、CCで上司にもメール内容を共有したり様々です。メールで伝えたい内容は決まっていても、相手に失礼のない表現になっているか考えたり、文章を簡潔に整えたりするのにあっという間に時間が過ぎてしまった…という経験がある人も多いはず。特にお断りのメールは相手に不快な思いをさせず、かつしっかり丁寧にお断りするということを考えていると、作成にとても時間を要します。
こうした「文章を組み立てる部分」は、ChatGPTにサポートしてもらいやすい作業のひとつです。
ChatGPTにメールを書いてもらうときは「伝える情報」が重要

「メールを書いて」とだけ伝えても、相手や目的などの情報が不足しているため、状況に合った文章を作るのは難しくなります。良い文章を作ってもらうには、以下のような情報を整理して伝えることが重要です。
- 誰に送るのか:「他施設の担当者」「院内の他部署」「上司」など
- 何のためのメールなのか:「研修について問い合わせたい」「業務の進捗を報告したい」など
- 何を伝えたいのか:伝えたい要点を箇条書きで整理しておく
- 相手との関係:「初めて連絡する相手」「普段からやり取りのある相手」など
- どんなトーンにしたいのか:「丁寧だけれど堅すぎない文章にしたい」など
- 必ず入れてほしい情報:日時、場所、確認したい内容など、抜けてはいけない情報
これらを整理してから依頼すると、ChatGPTは状況に合った文章を作りやすくなります。この「条件を整理してから依頼する」という考え方は、勤務表作成のときと共通しています。

まずはこれ!ChatGPTでメールを作る基本プロンプト
そのままコピーして使える基本プロンプトです。空欄部分を自分の状況に合わせて書き換えてください。
あなたはビジネスメール作成をサポートするアシスタントです。
以下の内容をもとに、丁寧で分かりやすいメールを作成してください。
【宛先】
○○病院 ○○科 ○○様
【目的】
研修参加についての問い合わせ
【伝えたい内容】
・○月○日の研修に参加希望であること
・持ち物や事前準備が必要か確認したいこと
【相手との関係】
初めて連絡する相手
【文章のトーン】
丁寧だが堅すぎない文章
【必ず入れてほしい内容】
・希望する研修日
・所属施設名(○○病院)
・こちらの氏名(Aさん)
【出力形式】
件名と本文を作成してください。
【文章の長さ】
簡潔に、200〜300字程度
このプロンプトをベースに、次の5つの場面に合わせて内容を書き換えると、さまざまなメールに応用できます。
医療職が使いやすいメールプロンプト5選
ここからは、医療職の仕事でよくある5つの場面を取り上げ、それぞれ「どんな場面で使えるか」「ChatGPTに伝えるポイント」「そのまま使えるプロンプト」を紹介します。氏名や施設名はすべて仮名です。
1. 他部署への依頼メール
資料の確認や情報提供、対応をお願いしたいときに使えます。目的と、いつまでに対応してほしいかを明確に伝えるのがポイントです。
あなたはビジネスメール作成をサポートするアシスタントです。
以下の内容をもとに、院内の他部署へ送る依頼メールを作成してください。
【宛先】
○○科 Bさん
【目的】
資料の確認をお願いしたい
【伝えたい内容】
・添付した資料の内容に誤りがないか確認してほしいこと
・○月○日までに返信がほしいこと
【相手との関係】
普段からやり取りのある同僚
【文章のトーン】
丁寧だが親しみやすい文章
【必ず入れてほしい内容】
・確認してほしい資料の名前
・希望する回答期限
【出力形式】
件名と本文を作成してください。
【文章の長さ】
簡潔に、200〜300字程度
2. 上司への報告メール
業務の進捗や確認結果、対応状況を報告するときに使えます。結論を先に伝えたい場合は、その旨もプロンプトに含めておくとよいでしょう。
あなたはビジネスメール作成をサポートするアシスタントです。
以下の内容をもとに、上司へ送る報告メールを作成してください。
【宛先】
○○師長
【目的】
依頼されていた業務の進捗報告
【伝えたい内容】
・○○の作業が完了したこと
・一部、確認が必要な点が残っていること
【相手との関係】
直属の上司
【文章のトーン】
簡潔で分かりやすい文章
【必ず入れてほしい内容】
・完了した内容
・確認が必要な内容
【出力形式】
結論を先に述べたうえで、件名と本文を作成してください。
【文章の長さ】
簡潔に、200〜300字程度
3. 他施設への問い合わせメール
研修や見学、資料の依頼など、他施設に初めて連絡するときに使えます。初めて連絡する相手には、普段より丁寧なトーンを設定すると、文章を整えやすくなります。
あなたはビジネスメール作成をサポートするアシスタントです。
以下の内容をもとに、他施設への問い合わせメールを作成してください。
【宛先】
○○病院 ○○科 ご担当者様
【目的】
施設見学についての問い合わせ
【伝えたい内容】
・見学を希望していること
・希望日は○月○日であること
・見学可能な日時があれば教えてほしいこと
【相手との関係】
初めて連絡する相手
【文章のトーン】
丁寧で礼儀正しい文章
【必ず入れてほしい内容】
・こちらの所属施設名(○○病院)
・こちらの氏名(Aさん)
・希望する見学日
【出力形式】
件名と本文を作成してください。
【文章の長さ】
簡潔に、200〜300字程度
4. 日程調整メール
打ち合わせや研修、訪問などの日程を調整したいときに使えます。候補日を複数提示したい場合は、その旨を条件に含めておきましょう。
あなたはビジネスメール作成をサポートするアシスタントです。
以下の内容をもとに、日程調整のメールを作成してください。
【宛先】
○○様
【目的】
打ち合わせの日程調整
【伝えたい内容】
・打ち合わせをお願いしたいこと
・候補日を複数提示し、都合の良い日を選んでもらいたいこと
【相手との関係】
これまでに数回やり取りしたことがある相手
【文章のトーン】
丁寧だが堅すぎない文章
【必ず入れてほしい内容】
・候補日(○月○日、○月○日、○月○日)
・希望する所要時間(約30分)
【出力形式】
件名と本文を作成してください。
【文章の長さ】
簡潔に、200〜300字程度
5. お礼メール
研修や見学、打ち合わせなどで協力してもらった相手へのお礼を伝えたいときに使えます。感謝の気持ちに加えて、今後のことに触れたい場合はその旨も伝えておきます。
あなたはビジネスメール作成をサポートするアシスタントです。
以下の内容をもとに、お礼のメールを作成してください。
【宛先】
○○病院 ○○様
【目的】
施設見学に対応していただいたことへのお礼
【伝えたい内容】
・見学の対応をしていただいたことへの感謝
・当日の説明が参考になったこと
【相手との関係】
先日、施設見学でお世話になった相手
【文章のトーン】
丁寧で温かみのある文章
【必ず入れてほしい内容】
・見学日
・こちらの所属施設名(○○病院)、氏名(Aさん)
【出力形式】
件名と本文を作成してください。
【文章の長さ】
簡潔に、200〜300字程度
AIに作ってもらったメールをそのまま送ってはいけない

ChatGPTが作った文章は、一見自然で整っているように見えます。ただし、文章として自然であることと、内容が正しいことは別の話です。送信する前に、必ず人間の目で内容を確認してください。
特に確認したいのは、以下のような項目です。
- 宛名(氏名・敬称に誤りがないか)
- 施設名(部署名や病院名に誤りがないか)
- 人名(自分の名前も含めて誤字がないか)
- 日付・曜日(実際のカレンダーと合っているか)
- 時間
- 数字
- 添付ファイルの有無(「添付します」と書いてあるのに添付し忘れていないか)
- 伝えたい内容が漏れていないか
- 敬語や表現に不自然な点がないか
ChatGPTは、こちらが伝えていない事実を勝手に正しく補ってくれるわけではありません。文章がどれだけ自然に見えても、日付や数字などの事実関係は、必ず自分の目で確認してから送信するようにしてください。
医療職がChatGPTでメールを作るときの注意点
メールには、業務上の情報や個人に関わる情報が含まれることがあります。ChatGPTに入力する情報には注意が必要です。
- 患者の氏名やIDなど、個人情報を入力しない
- 患者の病状や検査結果など、個人を特定できる情報を入力しない
- 実在する職員の個人情報を必要以上に入力しない(Aさん、Bさんのように記載し、後で自分で修正する)
- 院内の機密情報を入力しない
- 未公開の研究情報などを安易に入力しない
- 職場で定められているAI利用ルールを確認する
- 利用するAIサービスの利用規約やプライバシー設定を確認する
個人が特定されるような情報は入力しないようにしましょう。個人名の入力は避け、「Aさん」「B先生」など仮の名前を使い、実際の氏名や個人を特定できる情報は入力しないようにしましょう。また、施設によってAI利用に関するルールは異なるため、実際に業務で使う前に、自分の職場のルールを確認しておくことをおすすめします。
まとめ
この記事では、医療職のメール作成をChatGPTでサポートしてもらう方法を紹介しました。
- ChatGPTはメール作成の補助ツールとして使える
- 「誰に・何のために・何を伝えるか」を整理してから依頼する
- 用途別のプロンプトを使えば、メール作成のたたき台を作りやすい
- AIが作った文章は必ず人間が確認する
- 医療職は個人情報や院内情報の取り扱いに注意する
これまで勤務表作成についてもAI活用を紹介してきましたが、AIは勤務表だけでなく、日々のメール作成のような身近な業務にも活用できます。今回紹介したプロンプトを参考に、まずは身近な1通から試してみてください。




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