担当者をいつも悩ませているシフト作成。毎月頭を痛めている方も多いのではないでしょうか?
希望休の確認、夜勤回数の調整、連勤が続いていないかのチェック、必要人数が足りているかの確認。ひとつずつは単純な作業でも、それが何十人分も重なると、あっという間に時間が過ぎていってしまいます。まるで難解なパズルを解いているような感覚になりますよね。
「この面倒な作業を、ChatGPTのようなAIに手伝ってもらえないか」と考えたことがある方も多いはずです。
結論を先に言うと、AIに勤務表作成を丸ごと任せることはできません。ですが、条件を整理してたたき台を作る部分は、AIにかなり手伝ってもらえます。うまく使えば、ゼロから手作業で組むより作業時間を減らせる可能性があります。
前編では、AIで勤務表を作る際の基本的な考え方と、医療職ならではの難しさ、そしてChatGPTに渡すべき情報とプロンプトの作り方までを説明します。後編では、実際に依頼するときのポイントと、AIが作った勤務表の確認方法を詳しく紹介します。
AIで勤務表を作ることはできる?

まず整理しておきたいのは、「AIができること」と「AIだけでは難しいこと」の違いです。
AIができること
- 与えられた条件を整理し、勤務表の形に組んでみる
- 複数の条件(希望休・夜勤回数・連勤制限など)を一度に考慮して案を出す
- 条件同士が矛盾している場合に、その矛盾を指摘する
- 表形式やリスト形式で見やすく出力する
AIだけでは難しいこと
- 職場独自の暗黙のルール(明文化されていない慣習)を理解すること
- スタッフ同士の相性や、口頭でだけ伝えられている事情を反映すること
- 「本当にこの人員配置で現場が回るか」という現場感覚での判断
- 入力し忘れた条件を、AI側から完全に補って察知すること
つまりAIは、こちらが伝えた条件の範囲内でしか判断できません。伝え忘れた条件は、AIには存在しないものとして扱われます。
勤務表のたたき台作成にAIを使うという考え方
このため、この記事で扱うAIの使い方は、
「AIに勤務表作成のたたき台を作ってもらい、人間が最終確認・修正する」
という位置づけです。「AIに丸投げすれば一瞬で完成する」というものではなく、条件整理とドラフト作成をAIに任せ、仕上げと責任ある判断は人間が行う、という分担になります。
医療職の勤務表がAIにとって難しい理由

一般的なアルバイトのシフト作成であれば、「この時間に何人入れるか」というシンプルな条件だけで済むこともあります。しかし医療現場の勤務表は、考慮すべき条件がそれよりも多く、複雑に絡み合っています。
- 希望休:個人ごとに異なる休み希望があり、全員分を同時に満たせるとは限らない
- 必要人数:日勤・夜勤それぞれで、業務が回る最低人数が決まっている
- 夜勤・夜勤明け:夜勤の翌日をどう扱うか(明け勤務にするか、休みにするか)は職場のルールによって異なる
- 連勤:何日連続まで勤務してよいかという上限
- 夜勤回数:月あたりの夜勤回数を、スタッフ間で偏りなく配分する必要がある
- 経験者と新人の配置:新人と経験者をペアにするなど
- 資格や担当業務:特定の業務ができる人が、その時間帯に必ず入っている必要がある場合がある
- 勤務可能日:時短勤務や育児・介護などの事情による勤務可能日の制約
- 土日勤務のルール:土日の勤務回数を均等にする、などの職場独自の運用
- 職場独自のルール:上記以外にも、その職場だけで運用されている細かいルールが存在することが多い
これらの条件は、単に「空いているマスを埋める」というパズルではありません。ある条件を優先すると別の条件が崩れる、という綱引きが常に起きています。AIに勤務表を作ってもらう場合も、この綱引きの構造をこちらが理解し、AIに正しく伝える必要があります。
※上記の条件はあくまで一般的な例です。実際の勤務ルールは施設によって大きく異なるため、すべての医療現場に当てはまるわけではありません。ご自身の職場のルールに合わせて調整してください。
AIに勤務表を作ってもらうために準備する情報

AIに条件を伝える前に、必要な情報を整理しておくと、やりとりがスムーズになります。以下は説明用の架空の例です。
| 情報 | 具体例(架空) |
|---|---|
| スタッフ人数 | 10人 |
| 勤務区分 | 日勤・遅番・夜勤 |
| 必要人数 | 日勤4人、夜勤2人 |
| 希望休 | Aさんは○月○日が休み希望 |
| 夜勤可能者 | Bさん・Cさん・Dさん・Eさん |
| 最大連勤 | 4日まで |
| その他 | 夜勤の翌日は明け勤務とする |
※上記の人数・氏名・条件はすべて説明のための架空の例です。実際の職場の情報とは関係ありません。
この表のように、条件を項目ごとに書き出しておくと、次のプロンプト作成がスムーズになります。
ChatGPTに勤務表を作ってもらう基本プロンプト

以下は、初心者の方がそのまま使えるように作った基本プロンプトの例です。スタッフ名は架空のものにしています。
実際に使う際は、氏名・患者情報・個人情報・院内の機密情報などを絶対に入力しないでください。氏名は「Aさん」「Bさん」のような記号や、社内で使っているスタッフ番号などに置き換えて入力することをおすすめします。
あなたは勤務表作成をサポートするアシスタントです。
以下の条件をもとに、◯年◯月分の勤務表のたたき台を作成してください。
【スタッフ】
Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん、Fさん、Gさん、Hさん(全員経験者)
Iさん、Jさん(新人)
【勤務区分】
日勤・夜勤
【必要人数】
・日勤:毎日4人以上
・夜勤:毎日2人以上
【絶対に守る条件】
・夜勤は最大3連勤まで
・夜勤明けの翌日は必ず休みにする
・新人(Iさん、Jさん)だけで夜勤を組まない(必ず経験者を1人以上入れる)
【できれば守りたい条件】
・夜勤回数はスタッフ間でできるだけ均等にする
・Aさんは○月○日を休み希望としている
【出力形式】
・表形式で、曜日ごとに誰が日勤・夜勤かが分かるようにしてください
・すべての条件を同時に満たせない場合は、無理に勤務表を完成させず、
どの条件が両立できないのかを具体的に報告してください
このプロンプトをベースに、自分の職場の勤務区分や条件に合わせて書き換えて使ってみてください。
後編では、このプロンプトを使って実際にAIへ依頼するときのポイントと、AIが作った勤務表を確認するための具体的なチェック方法を紹介します。


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